びゅうのグレード

 まず男性をみてみましょう。
 胃がんが減っています。
人口I○万対年齢調整死亡率でみると、一九六〇年の九八・五から、二〇〇〇年の三九・一へと、半分以下に減っています。
 胃がん以外に、減っているがんはありません。
その代わり、はっきりと増えているがんが、いくつもあります。
おおまかな変化をみてみましょう。
 肺がんは、三倍以上も増加(コニ・六から四六・三へ)。
 結腸がんは、四倍に増加(三・六から一四・四へ)。
 直腸がんは、二倍に増加(五・九から九・三へ)。
 膠臓がんは、三倍に増加(四・一からコー・四へ)。
 前立腺がんは、四倍に増加(二・二から八・六へ)。
 次に女性をみてみましょう(図表116)。
 減っているがんは胃がんと子宮がんです。
 胃がんば、三分の一以下に減少(五一・八から一五・三へ)。
 子宮がんは、四分の一に減少(二I・三から五・三へ)。
 増えているがんはどうでしょうか。
 肺がんは、三倍に増加(四・八からコー・三へ)。
 結腸がんは、三倍に増加(三・六から九・五へ)。
 膠臓がんば、三倍に増加(二・五から七・二へ)。
 乳がんは、二倍に増加(五・一からI〇・七へ)。
 男性で増えていた直腸がんは、女性では横ばいです。
 ここまでをまとめましょう。
・日本人男性のがん死亡について(過去四〇年間)@胃がんが半分以下に減った。
その一方で、肺・結腸・直腸・豚臓・前立腺のがんが増えて いる。
A結腸がんと前立腺がんは、かつての四倍にも増えている。
・日本人女性のがん死亡について(同期間)@胃がんが三分の一以下に、子宮がんが四分の一に減った。
その一方で、肺・結腸・豚臓・ 乳房のがんが増えている。
Aとくに、肺がん、結腸がん、膠臓がんは、かつての約三倍に増えている。
 一枚のグラフが語りかけるもの ところで、図表1‐5と図表1−6は、厚生労働省が、最新のデータを加えて毎年公表するものです。
私も、がんについて講義をするときには、導入としてかならずこのグラフを使います。
読者の皆さんにとっても、一度は目にしかことのある、見慣れたグラフかもしれません。
 けれども私は、このグラフをみるたびに、驚きを新たにします。
図の横軸に示されている、「時間」に注目してください。
何百年というような、長い時間ではありません。
一九六○年から二〇〇〇年という、わずか四〇年という期間です。
四〇年といえば、親の世代から子供の世代へという、ほんの一世代あまりの期間にすぎません。
 にもかかわらず、この短い時間のあいだに、三分の一、四分の一に減るがんがあるかと思えば、三倍や四倍に増えるがんもあるのです。
つまり、日本人のがんのパターンは、短期間でドラスティックに変化しているのです。
 わずか四〇年という短期間で、日本人の遺伝的な体質が、大きく変化することはありません。
ですから、この間のがん死亡率の変化は、「遺伝的要因」以外の「環境要因」によって引き起こされていることになります。
がんと日本人二〇世紀の後半に日本人が経験した、がん死亡パターンの劇的な変化と、それを生じさせた「環境要因」の大きな変容一枚のグラフが語りかけるこうしたメッセージに、あらためて驚かされるのではないでしょうか。
 日系移民にみるがんの変化 日本人のがんに対する「環境要因」の影響の大きさを確かめるために、もう一つ別の種類の研究が行われてきました。
それは、米国などに移民した日系人のがんのパターンを調べる研究です。
日本に住む日本人の、がんの年代的な推移をみることが、環境要因の「時間的変化」の影響を調べることだとすれば、日系移民のがんを調査することは、移民という、環境要因のいわば「空間的変化」の影響を調べることだといえるでしょう。
 図表I‐7は、一九六〇年頃の、日本に住む日本人、日系移民一世(日本で生まれて米国に移住した日本人)、それから米国の白人のがん死亡率を比べています。
この研究は、東北大学医学部公衆衛生学教室と米国立がん研究所の共同研究として行われ、一九六八年(昭和四三年)の『米国立がん研究所ジャーナル』 一月号に論文報告された、歴史的なデータです。
 いずれのがんでも、日系移民一世の死亡率は、日本人と米国白人の中間に位置しています。
たとえば男性の胃がん死亡率は、もともと日本人が高く、米国白人では低いのですが、日系移民は両者のあいだに位置しています。
これとは反対に、男性の結腸がん死亡率は、もともと日本人が低く、米国白人が高いのですが、日系移民はやはり両者の中間にあります。
女性の胃がんと結腸がんについても、同じような傾向を認めています。
 女性の子宮頚がん死亡率は、もともと日本人が高く、米国白人では低いのですが、日系移民は、ほとんど米国白人と同じくらいにまで低くなっています。
一方、女性の乳がん死亡率は、もともと日本人が低く、米国白人が高いのですが、日系移民は両者の中間に位置しています。
もっとも、まだまだ日本の日本人に近い値で、米国白人ほどには高くなっていません。
 がんによって多少の差があるとはいえ、全体としてみると、米国に移住した日系移民では、がん死亡率が、移住元にあたる日本人のパターンから、移住先にあたる米国白人のパターンに近づくようなかたちで変化しています。
しかも、最初から米国で生まれた日系二世ではなく、もともとは日本で生まれてその後米国に移住した移民の一世の段階から、すでにこうした変化が生じているのです。
つまり、同じ日本人としての遺伝形質を共有しているにもかかわらず、米国への移住という出来事によって、これだけがん死亡のパターンが変化しているわけです。
移住という、環境要因の「空間的変化」が、がん死亡に与える影響の大きさがお分かりいただけるでしょう。
 がんの原因の七割は生活習慣 ここまで、がんの原因を「遺伝的要因」と「環境要因」の二つに分けて考えてきました。
「環境要因」というと、環境ホルモンや大気汚染などの、いわゆる「環境汚染」をイメージするかもしれません。
けれども通常は、環境汚染に限らず、食生活や喫煙などの生活習慣も含めて、「環境要因」と呼ばれています。
「遺伝的要因」以外のものを広く含めて、「環境要因」と総称しているのです。
 それでは、こうした各種の要因が、がん全体の原因として、どの程度の影響をおよぼしているのでしょうか。
図表118に、米国民のがんに対する各種の発がん要因の寄与率を推計した、ハーバード大学の研究を示しました。
 この研究によれば、「喫煙」ががん全体の原因の三〇パーセントを占め、「成人期の食事と肥満」も原因の三〇パーセントを占めると推計されています。
つまり、がん全体の六〇パーセントが、この二つの生活習慣が原因で生じていると考えられているわけです。
さらに、「運動不足」の五パーセント、「アルコール」の三パーセントを加えると、がんの原因全体の要因寄与割合(%)喫煙成人期の食事と肥満運動不足職業性の要因がん家族歴ウイルス等感染周産期・成長期の要因生殖関連要因社会経済的要因環境汚染放射線薬物・医療行為塩分・食品添加・農薬等汚染六八パーセントに達します。
つまり、「喫煙、アルコール、食事、肥満、運動不足」という、「個人の生活習慣」に関係する要因が、がんの原因の約七割を占めていることになります。
 これに対して、がん家族歴(つまり遺伝、五パーセント)、環境汚染(ニパーセント)、放射線(ニパーセント)などの要因は、がん全体に対する原因としての影響はあまり大きくないと見積もられています。


びゅう対策の予備知識が満載です。怖いもの知らずのびゅうです。
びゅうに注目が集まっています。びゅう探しならお任せください。
びゅうをこれから探す方に朗報です。びゅうのリリースをアナウンスします。